職業人口

『アニメビジネスがわかる』(増田弘道)読了。
 著者は元マッドハウス代表取締役で、営業系の人。
 前半が上場会社の決算と自分の経験からアニメの制作コストを割り出したり市場規模とかの数字の計算で、後半が著者自身の見解とか意見。2005 年で 30 分のテレビアニメ一本で 1100-1300 万とか数字は面白い。が、後半は何か納得いかない意見が多い。相撲取りの序の口だって大した給料もらってないから、職制の下層に位置する動画担当のアニメーターの給料が月6万円とかでも問題ないと言ってるけど、んなわけないべ。相撲取りは衣食住は保証された環境だし、上に行けば人生後半遊んで暮らせるのが分かってる(ただ得る技能はつぶし効かないものだけど)。アニメーターは長時間拘束されて衣食住の保証なくて6万。今時フルタイムでバイトして月6万の職業に人はきません。別になくなっても差し支えないといえばそうだが、産業として育てるつもりなら下層の人間の収入と将来の見通しを示さないと、人は寄ってこないでしょ? あと、動画が海外出ても大丈夫みたいなことが書いてあるけど、一番基礎の部分を分かってない人間が全体は見通せないことが多いことを考えると、動画を国内でやらないのは基礎体力を奪われる結果にしかならないでしょう。韓国はともかく中国は人口からいけば潜在的市場としては遥かに大きいわけで。
 デジタル化によるコスト低減の話とか考えるきっかけにはなるので興味があるなら読んでみるのはいいと思う。論の展開はおかしいところは多々あるけど。