『コロンバイン・ハイスクール・ダイアリー』(ブルックス・ブラウン/ロブ・メリット)
 読んだのは一年くらい前だけど、書きたいことがあるので書いておきます。
 原題は“No Easy Answers: The Truth Behind Death At Columbine” で 2002 年発行。著者のブルックスはコロンバイン高校の銃乱射事件の犯人の友達だった人物。「ボウリング・フォー・コロンバイン」で K Mart に銃の販売を止めるように乗り込んでいった時に、マイケル・ムーアと一緒にいたピンストライプのシャツを着てた人といえば、憶えのある方もいらっしゃるでしょうか。
 色々考えさせられることがあるのですが、圧巻なのはレイチェルという被害者の一人に関する出来事。彼女は敬虔なキリスト教徒だったのですが、


 「私は外へ出て行って、人々を改宗させようなんてしない。私は単に実例でいたいだけ。私は神のために人生を生きたいと思ってて、他の人々にも彼らが生きたいと思う人生を選んでほしい」
という彼女との対話が描写されています。この後に続く彼女の葬儀の描写が更に彼女の人柄を偲ばせるのですが、本書の解説に彼女の両親がテレビのインタビューで、

 「私たちは、犯人その人すらも赦します」と。そして、すぐ横にいた父親が、この答を引き継いだ。「もしレイチェルが生きていたならば、レイチェルこそ、真っ先に犯人を赦したでしょう」と。彼はこうも補足した。「私たちは、犯人の両親よりは幸福です。私たちは、こうして共に悼み、そして気遣ってくれる多数の人たちに囲まれていますが、犯人の両親に対してはそういう人はいないのですから」と。
と答えていると書かれています。これは色々考えさせられた。自分だったら?自分が同じように死んだ時に周りの人はどういうのだろう?キリスト教徒であることが大きいのか?等々…
 また、最初 13 人の被害者の追悼の十字架に加えて二人の犯人の十字架も同じところに立てられようとしていたというのを読むと、アメリカという国の広さを感じさせられます。
 事件から既に6年が経過していて、記憶が風化しつつありますが、当時何か感じた方は一度目を通してみることを勧めておきます。