はじまり

“I Photograph To Remember”
 CD-ROM ソフト創世記に出た“I photograph to remember”の web バージョン。日本語版 CD-ROM も確かボイジャーから出ていた。
 写真+音楽+ナレーションで構成されていて、作者=写真家の父親と母親の晩年が描かれている。いってしまえばそれだけのソフトだが、制作されてから年月の経っているが古さは感じさせない。そこに描かれる写真によって記録された人々の営みや感情のぶれがあくまで中心であるからであろうか。
 このソフトが後の LiFE* with Photo Cinema のようなソフトに与えた影響は大きいだろうと思う(間接的に、であっても) 。
 本人による web 版時の解説が何よりも詳しい。
 ビジネスリーダーの前でプレゼンした時の


At the end of the screening there was about a minute of total silence, which seemed like an hour. No one moved, or said anything, I was sure that my worst fears about the audience had been confirmed. When all of a sudden, one man in the audience stood up and applauded and said, this had been for him, a “love story”, the rest of the audience also stood up and welcomed the piece.
というくだりが、この作品を象徴していると思う。以下雑な日本語訳。

投影が終わった後、一分ばかりの沈黙が続いた。それは一時間の長さにも思えた。誰も動こうとせず、何も喋らなかった。観客は一番畏れていた状態になってしまったらしい、と確信した。その時突然観客の一人の男が立ち上がって拍手をした。この作品は自分にとっては「ラブストーリー」だ、と。そして残りの観客も立ち上がって称賛を示してくれた。