書くか迷ったけど一応書いておく(そんな大袈裟な話じゃないが)。
 秒速5センチメートルの小説版が発売になったみたいだが、ダ・ヴィンチの連載をチェックしていた感想。
 ネタばれ注意。

 一話と二話はあまり受ける印象に違いはないのでパス。問題は三話で、貴樹の大学から会社を辞めるまでがはっきりと描写され、貴樹の書いていた手紙の中身が貴樹自身の夢の中の回想という形で明らかにされ、明里が手紙を見つけたときの心理描写が少し詳しくなされ明里の書いた手紙の全文が提示される。
 貴樹は大学入ってから付き合った彼女が複数いることが書かれている。で、学部卒で会社に入って水野と出会ってから分かれるまでの間に明里を思い出す描写は一切ない。貴樹は大学以降水野と分かれるまでほぼ明里のことを思い出さなかったのではないかと推測される描写になっている。
 また、手紙の内容は二人とも岩舟と種子島で離れて住むようになることで終わりになることを知っていたというもの。

 映画が観る側の記憶に入り込んで解釈を許す作りになっていたのが、小説ではきっちりとした枠が用意されている。それをどうとるかは人それぞれだろうが、小説を読むと "One more time, One more chance" は何だったのよ、という気が私にはした。あと花苗が見送りにきた空港での描写が追加されいるが、それを読むと貴樹はあまりにひどくないか?と思う。あと、明里がどういう形で貴樹を振ったのかは描かれていないから、手紙を見つけた明里の感情の描写は「ふ〜ん」という感じしかしない、どっちかというと悪い意味で。


 小説としては描写が冗長なところが多くてあまり読み易くはない。座席に座るとか、頭痛が痛い系の言葉の使い回しが多い。
 あと、今売りのダ・ヴィンチのインタビューで新海誠が貴樹に自己を投影しているところがあるのを認めているのは、こっそり注目すべし。


 上映当時の感想は
http://d.hatena.ne.jp/moonsight/20070317/p1
http://d.hatena.ne.jp/moonsight/20070318/p2
http://d.hatena.ne.jp/moonsight/20070321/p1
のへん。
 ちなみに DVD も再映も観てません。